『がんメンタルケア』とは?
目次
『がんと診断された時に必要なメンタルケア』
今日は私の専門分野でもあるがんのメンタルケア・心の緩和ケアについてお話しをしたいと思います。
現在、がんに罹患する人は年々増加傾向にあり、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は2人に1人と言われており、国立がん研究センターが公開している2021年のがん罹患数の予測値は1,009,800人、死亡数の予測値は378,500人とされています。
つまり、誰にでも、がんになる可能性はあるということです。
では実際に、突然「あなたは、”がん” です」と告知されたら、人はどのような心的状況に陥るのでしょうか?
がんに罹患された方が、たどる心のプロセス
がんに罹患された方が、たどる心のプロセスは大きく分けて3つです。
第1段階:がん告知による衝撃と否定、絶望の時期
第2段階:不安や悲しみによって、睡眠障害や食欲低下、抑鬱状態など心身の異変に気づく時期
第3段階:自分が、がんであるということを受け入れて、立ち直っていく時期
初めの段階として、がんの告知や再発、転移の診断を聞いた時は、衝撃が強すぎて、多くの人は、診断結果を認めることができず、「診断は間違いではないのか?」と否定をします。これは、自分自身を防衛しようとする心の動きです。自分にとって恐怖となるものや事柄から距離を置くことで、自分の身を危険から遠ざけようとする、人間に備わった自然な反応が生じます。
その後、2段階目として、今度は眠れなくなったり、食欲がなくなったり、集中力が欠けたりなど、心と体に異変が生じていることに気付き始めます。「なぜ自分だけが、こんな目に合わなければいけないのか」という怒りや、「一体自分はどうなっていくのだろう?」「死ぬのが怖い」など、孤独感や不安、悲しみにおそわれます。
そして、3段階目には、不安や心配、恐怖感はあるものの、以前より気持ちが少しずつ落ち着き、自分を取り戻すことができるようになってきます。がんにかかったことを受け入れ、将来を見つめ直し、前向きに取り組んでいこうという気持ちに切り替わります。
この段階に達すると、がんに関する情報収集をしたり、病状を理解しようとするようになり、多くの人は、がんとともに生きていく心の準備が整ってきます。
心の負担を軽くする
自分自身の病状を把握したり、病気や治療方法を調べることはもちろんとても大事ですが、自分の中に巣食う不安感や恐怖心をしっかり受け止めて、前に進んでいくための心の準備をすることも、とても重要です。
「がん治療前、治療中、治療後のどの段階においても、がんと共生する上で、メンタルケアは不可欠である」
これは、たくさんのがん患者さんに携わってきた経験から、私自身が辿り着いた答えです。
がんで悩む方々の「心の重石」を少しでも軽くするためのサポートがしたいと思い、日々取り組んでます。
がんに罹患されているご本人様だけではなく、ご家族様の心のケアカウンセリングも行っていますので、お気軽にご相談下さい。
参考資料
ファイザーオンコロジー:https://ganclass.jp
国立がん研究センター:https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html